書面の長さについて
訴状や準備書面等の裁判所に提出する書面の長さについては色々な考え方があると思いますが、当事務所では、内容が同じであれば1頁でも1文字でも少ない方が良いと考えています。膨大な数の事件を処理する裁判官は、簡明でコンパクトにまとまった書面を歓迎し、逆に無駄に長い書面にはウンザリするであろうことは、自分が裁判官として執務する場面を想像してみれば明らかだからです。そのため当事務所では、各書面提出前に、無駄な部分を削除して内容を整理することはもちろんのこと、「@@であるものと言わざるを得ない」のような表現を「@@である」に書き換えるなどの「文字の刈り込み」作業もおこないます。
ちなみに弁護士さんの中には、相手方の例えば10頁の準備書面への反論は必ず11頁以上にするような方もいらっしゃるようで、これは依頼者に対し「やってる感」を示そうとされているものかとも思われますが、その手の書面は往々にして無駄に長いまとまりの悪いものとなります。依頼者が、“書面の長短=訴訟の優劣” ではないかと思い始めるのは、書面の内容が理解できず何が進行しているのかさっぱりわからないが、自分たちの方が頁数が少ないことだけは(当然)わかる、という不安に陥った時です。準備書面等の読み手は、多忙を極める裁判官であり、書面の目的は、裁判官を説得することにある以上、書面を無駄に長くするのは避けるべきであり、ただその一方で依頼者に対しては「当方の書面には以下に解説申し上げるとおり十分な内容が書かれています」と解りやすく説明するように努めれば、“書面の長短=訴訟の優劣” という誤解は生じにくい、というのが当事務所の経験してきたところです。