第一種低層住居専用地域内における消防署の建築について

建築基準関係規定は、以下のように定めます。

建築基準法48条 
1 第一種低層住居専用地域内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
(第2項略)
3 第一種中高層住居専用地域内においては、別表第二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
(以下略)

  

別表第二(い)第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
 一 住宅
    (中略)
 九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
    (以下略)

  ↓

建築基準法施行令130条の4
法別表第二(い)項第九号・・の規定により政令で定める公益上必要な建築物は、次に掲げるものとする。
  (中略) 
二 地方公共団体の支庁又は支所の用に供する建築物、老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもので延べ面積が六百平方メートル以内のもの
  (以下略)

   _

別表第二(は)第一種中高層住居専用地域内に建築することができる建築物
 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
  (中略)
 七 公益上必要な建築物で政令で定めるもの
  (以下略)

  

建築基準法施行令第130条の5の4
法別表第二(は)項第七号・・の規定により政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。
一 税務署、警察署、保健所、消防署その他これらに類するもの(法別表第二(い)項第九号に掲げるもの及び五階以上の部分をこれらの用途に供するものを除く。
二 略

【令130条の4と令130条の5の4との関係について】
 令130条の4所定の「地方公共団体の支庁又は支所」は、130条の5の4(消防署が明文で許容されている)との対比からすれば、事務所のようなものが想定され消防署は含まれないようにも思われますが、住居地域における消火・救急活動の必要性と重要性に鑑みれば、同条が消火・救急活動の拠点となる消防署の建築を禁じているとまでは解しにくいと思います。建築基準法質疑応答集P4388の回答が、消防署も地方公共団体の支庁又は支所に該当するとしているのも、同様の解釈によるものと思われます。
 このように考えた場合、消防署に関しては、130条の5の4(消防署の建築を許容)と対比した場合の130条の4(延べ面積600平米以内の消防署(支庁)の建築を許容)の存在意義は、面積規制にある、ということになると思われます。

 なお、延べ面積が600平米を超えるものでも法48条1項による許可を受ければ建築が可能ですが、それに関しては14項にもとづき公開意見聴取が行われるほか、建築審査会が(A)良好な住環境を害するおそれがないか、または(B)公益上やむを得ないかにつき審査するので、130条の4の面積規制が骨抜きになることはないと言えます。そして自治体が以上の手続きを踏んで第一種低層住居専用地域内に600平米を超える消防署を建築した例は、いくつかあるようです。