差額の利息は年1割
地代や家賃の増減額請求を受けた場合、請求を受けた側は、受けた請求が正当であると考えた場合には、無駄に解決を引き延ばさないことが大切です。借地借家法には、年1割の利息の規定があるからです。
第十一条 2 地代等の増額・・の請求を受けた者は・・裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合・・不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額・・の請求を受けた者は・・裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合・・超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。第三十二条 2 建物の借賃の増額・・の請求を受けた者は・・裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合・・不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額・・の請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合・・超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
例えば、月額8万円の地代を同11万円に増額したいとの請求を受けても同8万円が相当であると考えてその支払を続け、裁判が同10万円で確定したら、増額請求を受けてから判決確定まで毎月2万円ずつを金利年1割でキャッシングしていたのと同じようなことになり、請求後の訴訟外での交渉及びその後の訴訟が長期に及んだ場合には相当な元利金を精算することになります。しかし、増額後の適正額をある程度予測できるタイプの弁護士に依頼した場合には、その額(例えば月額10万円)を暫定的に支払うことで上記リスクを小さくすることができる場合があります。
なお、大家さんや地主さんの中には、自分が相当と考える地代や家賃に1円でも足りなければ突き返してくる偏屈な方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような大家さんや地主さんに実際に受領拒否をされた等の場合には、地代や家賃を供託することができます。