特徴的なクレーマー
建築のクレームに限らず、各種クレームの当事者の中には、脈絡なく次々と質問や議論を展開して論点を拡散させ、収拾がつかなくなってしまう方がいます。例えば質問1に回答すると、そこから質問2と質問3が誘発され、それらにも誠実に回答すると質問2から質問4と質問5が、質問3から質問6と質問7が誘発され・・という具合です。
相手を困らせようとわざとそうする人もいるかもしれませんが、それとは別に「議論には主題があることを理解し、無数の事実を主題との関連性で分類して頭の中に配置し、主題から遠い事実には自然と意識が向かなくなる」という多くの人にとっては自然なプロセスが、生来機能しにくい方もいることが知られています。そういう方は、悪意なく論点を拡散させてしまうだけでなく、各種コミュニケーション上の行き違いで関係者を当惑させますが、実はそれらは彼らの行動特性として良く知られており、医学書には、私たちを当惑させる彼らの行動と類似の実例がことごとく紹介されていて「目から鱗」の思いをすることもあります。
もっとも、医療者以外には、そのような行動を取る人が本当に上記特性を生まれ持つ人であるかを判断することはできません(そして仮にそれが強く疑われる場合でも,本人から治療の申込みを受けた医療者以外の者がそれを相手に伝えることはできれば避けたいと思います(本当に当該特性を有する人であった場合、タイミングを図っての告知は治療の一環だからです))。しかし、相手の特徴的な発言・行動や特徴的な文書の書きぶりから上記を疑った場合、そのような人であると仮定して医学書等を参照しつつ対応すると、驚くほど円滑に事態が進展することもあります。