借地権割合

借地権の価格は、一般に、更地価格×借地権割合 により求められます。

地域ごとの標準的な借地権割合は、国税庁発表の路線価図にA(90%)~G(30%)の割合として示されていて、各種取引や不動産鑑定において借地権割合を算定する場合には、まずこれが参照されます。その上で、近隣の借地権の取引事例や、借地権付き土地の所有権(いわゆる底地権)の取引事例から、上記割合の適正さを検証します。

但し、路線価図記載の借地権割合は地域ごとの標準的割合であるので、その地域の平均像から外れた借地権については、適宜補正をしながら借地権割合を定めます。たとえば、中層マンションが建ち並んでいて路線価図の借地権割合は60%とされている地域において、古い木造平屋の敷地の借地権を買い取ろうとする場合、買主の目的は決して古い木造平屋を保有し続けることではなく、その敷地を利用して近隣と同じ中層マンションを開発することにあるのが普通です。しかし木造建物所有目的の契約をRC造建物所有目的に用途変更し建替えをするにあたっては、地主に対し更地価格の10%程度の承諾料を支払うのが通例で、この手続を踏んで初めて、上記借地権の権利内容は、その地域の標準的な借地権と同じになるのであり、それまではその権利内容は地域の借地権の平均像に及ばないものと言えます。そのため、上記の古家敷地の借地権割合は、60%から上記10%分を減じて50%とすること等が考えられます。

また借地権の財産価値を査定するシーンでは、借地権の譲渡に当たっては地主に対し借地権価格の1割程度の譲渡承諾料を支払うことが必要とされるため、借地権割合による価格をさらに1割減じたもの(譲渡の場合の見込み手取額)をもってその実質的財産価値と評価すべき場合もあると思われます。