「虎に翼」と民法730条

NHKの朝の連続テレビ小説「虎に翼」で、民法の下記条文が素材とされたことがありました。

(親族間の扶け合い)
第730条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

ドラマでは、ある東大教授が家制度にこだわってこの条文が残った、というストーリーになっていました。

ところで、この730条に関する判例を検索しても、結果は0件と出力されます。下記国会議事録からもわかるように、この条文は法律上の義務を定めたものではなく、道徳的なものにすぎない、それが立法趣旨である、とされているので、民法730条を根拠に何らかの法的請求をしたという事例が、ほとんどないためだと思います。

第1回国会 衆議院 司法委員会 第23号 昭和22年8月18日 議事録
出典 https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=100104390X02319470818
○鈴木國務大臣 ・・・臨時法制調査會においても、このこと(*730条の是非)が問題になりまして、いかにすべきかということが起りましたときに・・・少くとも道徳的な要求として存置しようではないか、こういうことになりまして、法制調査會では、直系血族及び同居の親族は互いに協力扶助すべきものとすという決議になつておりまして、それは道徳的要求であつて、法律上の義務ではない、こういうふうに但書がついておるのであります。そういう意味において・・・一應道徳的な要求として掲げておくならば、さしたる弊害もなかろう。・・・こういうことにいたした次第でございます。