建物の傾斜の測定
建物の内壁や柱の傾斜の測定方法は別項でお示ししたとおりですが、建物の不同沈下等が訴訟で問題となった場合には、傾斜につき総合的な測定を実施します。その方法には各種ありますが、たとえば・・
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床の傾斜
レーザーレベル(360度に水平にレーザー光を発射する装置)を室内の中心付近に据え、スタッフ(leveling staff:棒状の大きな物差し)で各所のレベルを読み取ることで測定することができます。例えばA地点でレーザー光が目盛り100mmの所に照射され、そこから3m離れたB地点で同118mmのところに照射されていたら、B地点はA地点より18mm沈んでおり、両地点間の傾斜は1000分の6であるとわかります。床面に碁盤目状のグリッドを設定し、交点ごとに測定を繰り返したデータをエクセル等で3D折れ線グラフにすると、床面の傾斜やうねりを視覚化して示すことができます。
基礎の傾斜
レベル(又はオートレベル)(三脚の上に水平に回転する望遠鏡が乗った装置)を水平に設置し、基礎端の上端にターゲットを合わせたら、そこから水平に回転させて別の上端を覗き見て、そこに当てられたスタッフの目盛りを読み取ることで2点間の傾斜を測定することができます。
外壁の傾斜
室内壁面の測定と同様に、下げ振りを利用して測定することができます。室内の柱の測定と同様、測定方向を90度違えて例えば東西方向と南北方向の傾斜を測定します。ただ、あまり高さがあると風の影響を受けて円錐重りが静止しないなどの問題があるので、トータルステーションと呼ばれる測量機器等を使う場合もあります。まず望遠鏡を覗き、建物上端にターゲットを合わせ、望遠鏡が水平方向に回転しないようネジを固定してから、望遠鏡を下へと振って建物下端を覗き見て、そこに当てられたスタッフの目盛りを読み取ることで、外壁の左右の変位を確認することができます。
窓枠や敷居の傾斜
これについてはある程度の長さのある傾斜計により測定することもできます。