木造をRC造・鉄骨造に建替えるときの承諾料

借地契約で、増改築には地主の承諾を要する旨が定められていて、しかも借地契約の目的が非堅固(木造)建物所有とされている場合において、借地人が現存の木造建物をRC造・鉄骨造等の建物(堅固建物)に改築しようとしているのに地主がこれを承諾しないときは、借地非訟手続きにより、裁判所に借地条件を堅固建物→堅固建物所有目的に変更してもらった上で、増改築の許可を与えてもらう必要があります(借地条件を堅固建物所有目的に変更しない限り、木造→RC造の改築は契約違反として不適法なので、増改築の申立てと借地条件変更の申立てをして両事件を併合する必要があります)。

*旧借地法の第3条(非堅固建物所有目的の推定)は「契約で建物の種類・構造について定めなかったときは、堅固建物以外の建物の所有を目的とするものとみなす」と定めていたため、契約書に堅固建物所有目的と記されていない多くの借地契約(又は昔の契約書が見当たらない借地契約)では、上記手続きが必要になります。

*現行の借地借家法の附則4条は「この法律の規定は・・廃止前の・・借地法・・の規定により生じた効力を妨げない」と定めており、非堅固建物所有目的とみなすという上記規定により生じた効力は、現在も妨げられていません。

その場合の財産的給付(承諾料)は、更地価格の10%が標準的です。その内訳は、別項のご説明に即せば、増改築承諾料が(木造 → 木造 の場合の3%ではなく)RC造や鉄骨造への増改築により利用効率が増大する(*)場合として5%で、残り5%が条件変更の承諾料です。

*たとえ改築の前後で間取りが同一であったとしても、木造とRC造とでは帰属家賃に格差が生じます。帰属家賃とは、実際には家賃の受払を伴わない持ち家等について、通常の借家と同様のサービスが生産され消費されるものとみなして、それを市場価格で評価した経済計算(帰属計算)上の家賃です。その見地からは、借地上における生産及び消費が増大したという意味で、利用効率の増大が認められると思われます。