地代の遅行性
地代の変動は土地価格の変動に遅行する性質があります。これは、土地所有者は当該地域の土地流通価格が上昇しても直ちにはこれを認識せず、土地流通価格が上昇し、それが公示価格等に反映され、その後に固定資産税評価額等に反映されて公租公課が増額されることで初めてこれを認識させられ、しかもそれを機に賃料増額を請求しても交渉妥結までさらに長期間を要すること、などに起因するものと考えられます。ところが地代算定の技法には、土地価格の変動を直ちに結論に反映してしまうものがあります。土地に投下した資本からのリターンの割合を固定値(利回り)で想定し、土地価格×年利回り=年間地代、とする利回り法もその例です。その種の技法による結論は、土地価格の短期的な上昇又は下降局面では、相場から乖離しやすい傾向にあります。その場合は、路線価上昇率、公示価格上昇率、公租公課上昇率等を比較し、当該地域が上記遅行プロセスの途上にあるのではないかを検討する必要があると思われます。